アントシアニンとは?
ブルーベリーを食べると、目が薄明かりでもよく見えるという、第二次大戦中にイギリス空軍の、ブルーベリージャムが大好きな戦闘パイロットの証言から、これに興味をもったフランスやイタリアの、特に航空宇宙生理・医学会の研究者たちによって、数多くの研究結果がこの学会で報告されるようになりました。
ヨーロッパでは数多くの学会報告から、ブルーベリーのエキスや錠剤が、眼科系疾患の治療薬として、約20年も前から使用されてきたのです。
このブルーベリーの特長である濃い青紫色は、天然の赤紫成分として知られるアントシアニン色素によるもので、特にブルーベリーの果皮に多く含まれているのでした。
アントシアニン色素は、アントシアニジンとブドウ糖やガラクトース、アラビノースといった糖と結合してできているもので、天然にはこの配糖体と呼ばれる形で存在しています。
ブルーベリー以外には、このアントシアニンは、巨峰などのような赤紫色をしたブドウ、また紫色のナス、あるいはシソや黒豆などに含まれていることは、活性酸素を消去する成分として、健康によいことから最近よく知られるようになってきました。
なかでも、ブルーベリーに含まれるアントシアニンの特長は、15種類というアントシアニンを含むことと、さらに糖分と一緒に熱を加えたり、冷凍したりしても比較的安定であるということです。
このことは、ジャムなどに使用し加工したりするのに、保存上冷凍したりする場合もたいへん安定ですから、成分が変化しにくいという特長になるのでした。
種々のベリー類のアントシアニンに関する研究は、ノルウエーバアゲン大学のアンダーソン博士によって系統的に解析されています。目をよくするためのアントシアニン色素は、120~250mgが必要とされ、生の果実では1日に90~180gの摂取が必要といわれるのです。
その効果は、摂取後4時間くらいから現われ、24時間継続するということが分かりました。これは、ブルーベリーのたいへん大きな特長ですが、水溶性ですから、摂取量が多くなりすぎても心配はありません。
このブルーベリーのアントシアニン(VMA)の構造は、他の植物で黄色の色素としてよく知られていて、活性酸素の害を消去する効果が高い成分で、イチョウ葉エキスなどで知られるフラボノイドの還元体であることが分かりました。
イチョウ葉エキスはヨーロッパでは、約20年も前からEC9ヵ国で医薬品として、年々使用量は増えて、ドイツやフランスでは65歳以上の5人に1人は摂っているといわれるほどになってきています。
緑茶に含まれるタンニンという渋味成分のカテキンも、類似した構造を示しますが、同様に活性酸素の害を消す効果が、高いことで知られてきました。いずれも、保健食品として評価が高くなってきているのは、そういう理由からです。